カンチの3ポイントシュート

ゴールの遥か手前で無残にも失速する3ポイントシュート

肉の塊に救われた話

      2017/01/09

 

辺り一面、砂嵐だ。

これが「テレビの砂嵐」だったら、どんなに良かったことか。

 

朦朧とした意識の中で、砂上を彷徨い歩く。

グニャッという砂の感触に足を取られる。

 

「カンチー!大丈夫かー!」

 

大丈夫だ、と呼応しようとした刹那

仲間はとうに脱落したことを混濁した意識の中でハッキリと思い出した。

 

幻聴なのか。

 

これまで幾度となくオアシスの蜃気楼、逃げ水を見てきた。

やはり幻聴なのだろう。

いや、幻聴ではないとしても

渇いた雑巾のような喉からは、仲間の呼びかけに呼応することすらままならなかった。

 

あてもなく砂上を歩く。

砂、砂、砂、砂。

水、水、水、水。

水が欲しい…。

私はついに砂上に手をつき、へたりこんだ。

 

こんなにまで水を渇望したのはいつ以来だろう。

友人と水鉄砲で遊んでいた時、私の水鉄砲内のタンクの水が切れ

なすすべもなく、友人からの放水を浴び続けて半ベソをかいた、あの夏の日。

それ以来ではないか。

 

いや、待て。この前の洗車の時に…。

あれ?断水があって、トイレが流せなかったのって昨日だっけ?

そんなことを考えながら、私は無心で砂を掘っていた。

「水なんか湧くわけもないのにな。」

自嘲気味に笑いながら、独りごちた。

次の瞬間、砂の感触とも違う、柔らかな感触を覚えた。

 

…こ、これは!?

なんでこんな所に!?

 

なんでこんな所に「特選松阪牛専門店やまと」の松坂牛があるんや!!!!



 

しかもよく見ると、一番上に「後払いOK」って書いてあるやんけ!!!

私は何の気兼ねすることなく、「特選松阪牛専門店やまと」の松坂牛を貪った。

ジューシーな肉汁がカラカラになった喉を潤す。

 

なんとなく、「おふくろの味」を思い出した。

 

私の故郷にはマックがある。

料理下手の母親は、幼い私にマクドナルドばかり買い与えていた。

そう、私にとっておふくろの味とは「=マクドナルド」なのである。

 

「松坂牛、なんの関係もないじゃん。」

私はまた、自嘲気味に笑いながら独りごちた。

 

そうだ。故郷の母親は相変わらずマクドナルドばかり食べているのだろうか。

 

 

上に「送料無料」ってかいてあるし



 

母親に送ってあげよう。



 

この松坂牛で、もつ鍋なんかしちゃったら

一家団欒、「水入らず」になるのではないか。

そう、あんなに渇望していた水なんて、もういらないんだ。

 



 

少しばかり元気になった私は砂場から脱出し

同じ公園内にある水飲み場へと向かった。

 

公式サイト⇒特選松阪牛専門店やまと

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